「好きなことするのに性別関係なくない?」男装アイドル・天道ケイの“羅針盤”が指し示す未来

札幌を拠点に男装アイドルとして活動する天道ケイくん(以下ケイくん)との付き合いは、もう5年になる。“天道ケイ”として活動を始める前から、筆者は趣味友達として仲が良かった。

今回、なぜケイくんにインタビューしたのか。それは友人として単純に活動を始めたきっかけが気になったというのもあるが、“男装アイドル”として一体どこへ向かっていこうとしているのかが知りたかったからである。

天道ケイ プロフィール

名前:天道ケイ
誕生日:11月2日
出身地:北海道
所属:『La➤Shin➤Bang!!』北担当
キャッチフレーズ:北から昇るキラキラ太陽
趣味:歌・雑談・昼寝
特技:筆ペン習字
活動媒体:Pococha・YouTube・ツイキャス・Twitter

目次

「名前を聞いたら、すぐに思い浮かぶ人になりたい」

ケイくんが男装に興味をもったきっかけは、高校生の時にはじめたコスプレだった。

「コスプレを高校生の時から友達とやってて。でも途中からキャラクターじゃなくて、自分で考えた違うものをやり始めて。それを、ちょこちょこTwitterに載せたりしてた」

最初は趣味で発信していたというケイくん。ではなぜ、『La➤Shin➤Bang!!』への所属を決め、“男装アイドル”活動を始めたのだろうか。

「もともと男装の活動に興味はあって。それで、界隈の知り合いが“こんなアイドルグループを始めます”っていうんでオーディションを受けた。歌うとか番組作りますとか、やりたいなぁって思ってたことが一致してたんだよね」

『La➤Shin➤Bang!!』は、2021年4月から活動を始めたばかりの4名からなるジェンダーレスネットアイドルグループ。札幌にある『SQUAD!』という事務所に所属し、Pococha、17Liveなどの個人配信やYouTube、Twitterをメインに活動している。

近年では、このように配信アプリやSNSを使って誰でも簡単に“発信者”になれるが、いざネット上に自身の顔を出そうとすることには、ハードルの高さを感じる。そのハードルを乗り越えた原動力は何だったのだろうか。

「小学校に入る前ぐらいに、有名になるとか、表に出るってすごいなって思ったことがあって。テレビに出てる人のことをウチは知ってるけど、向こうは知らないわけで。それってすごいなって憧れたんだよね。名前を聞いたら顔が浮かんでくる。そういう人になりたいって思った」

ケイくんの回答は、存外シンプルなものだった。しかしたしかに、『嵐』といえば気象状況よりも、あの5人の顔が浮かぶし、『木村拓哉』といえば、あの顔が浮かぶ。多くの人は直接的な面識はないのに、彼らを知っている。そんな不可思議ともいえる現象を目の当たりにしたら、子供心に憧れが生まれるのも頷ける話である。

「男だからとか、女だからとか、そういうのなしで良くない?」

ひと口に“ネットアイドル”といっても、活動の方向性は様々である。『La➤Shin➤Bang!!』の一員として、どういう方向性でいたいのか、何を目標にしているのかと問うと、ライブなどの活動はもちろん視野に入れているとしつつも、“男装アイドル”としての明確なビジョンを答えてくれた。

「一番考えてるのは、性別とか年齢とか関係なく、やりたいことやっていいんだよって、こんな人いるんだよって伝えたいってことかな。“自分、こういうことやってみたいんだけど、やっていいのかな……”、みたいな人に“堂々とやっていいんだぜ”って伝えたい。こういう風に自分たちがやってれば、“あ、やってもいいんだ”って思う人が増えるかなって。その気持ちが大きい」

“多様化”が大きく叫ばれるようになって久しいが、それでもやはり様々な“壁”が存在する。ケイくんは、性自認を“男性寄りの中性”とする“Xジェンダー”だが、そのうえで、「自身のパーソナリティーをマイナスに捉えてほしくない」と語る。

「元々、自分のパーソナリティーがあって。その上でやりたいことってのもあって。だけど、そこでネガティブに捉えて“無理なんじゃない?”とは思ってほしくない」

そして話は、アイドルグループの一般的な構成論へ向かっていく。

「そもそもアイドルって、どうしても男性グループ、女性グループって分かれるけど、その必要なくない?って思って。ウチらは、単純に“ライブしたいよね”“YouTubeやりたいよね”っていうので集まっただけだから」

元来、アイドルグループというのは“男女”で分けられることが多い。しかし『La➤Shin➤Bang!!』は、そういった垣根を設けず、純粋に「ライブしたいよね」という気持ちで集ったメンバーなのだ。そのため、個々人の詳しいパーソナリティーについてはお互いに掘り下げていないという。

「“自分のパーソナリティーをどう思ってるんですか?”みたいな話は一切したことがなくて、はっきりはわからない。ただ、“ライブをしたい”って気持ちは一致してるから、性格とかがわかってれば別にいいかなって」

「地元のWikipediaに載りたい」

「天道ケイとして目標はある?」と問うと、ケイくんは2つの目標をあげた。

「目標は2つある。まず、自分の歌で『踊ってみた動画』とか、“La➤Shin➤Bang!!のオリジナル曲をカバーしました”をやってもらえる人になりたい。もう1つは、Wikipediaに載れる人になりたい。Wikipediaで“北海道”って検索すると、出身の有名人って出るじゃない。あそこに載りたい。それで、もっと有名になれたら、“函館出身の有名人:GLAY”みたいな感じで、地元の項目に入りたい」

この回答に、筆者は思わず「こうなりたい、会いたいって人はいないの?」と質問を切り返してしまった。こういった活動において、憧れの人がいるというケースは往々にしてあると思ったのだ。

「うーん……ないねぇ。どっちかっていうと誰かと共演したいとかよりも、“作ったものに対しての評価”が欲しい」

ケイくんのスタンスは、「〇〇みたいになりたい」「〇〇に会いたい」ではなく、“天道ケイ”や“制作物”に評価がほしいというもの。“表現者”という言葉で表した方がしっくりするような、クリエイター的な目線で活動をしているようだ。

「メンバーの出身地でライブがしたい」

やはりライブをやるなら東京でやりたいという話があるようだ。

「人が集まりやすいから東京でやりたいと思ってるし、事務所のある札幌に来たいってメンバーもいる。あと、メンバーそれぞれの出身地でもやりたいねって話もしてる」

『La➤Shin➤Bang!!』は、今後はさらに活動基盤を広げるため、YouTubeで『歌ってみた動画』など個々人の企画動画を強化し、更新頻度をあげていく予定だ。さらに、ケイくんの発案で月1でツイキャスも始めたという。

「番組を作りたいと思ってツイキャス始めた。やっぱり、個人配信だけだと視聴者さんとの交流メインになっちゃうんだけど、メンバーの個性とかを深堀りしていきたいんだよね。メンバー、こういうことができますとかをどんどん出していこうと思ってて。更新頑張ります!」

天道ケイ公式Twitter

天道ケイ公式Pococha

『La➤Shin➤Bang!!』公式YouTubeチャンネル

 

(編集:中村洋太)

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Sachi.
舞台観劇に人生を捧げるフリーライター。他にもSnowManとか小泉花陽(ラブライブ)とかが好きな多趣味人間。めちゃくちゃ好奇心旺盛です。