積み木との出会いが3人子育てを楽しくした理由

積み木

積み木というと、どのようなものを思い浮かべるでしょうか。三角と四角のアレでしょ?赤ちゃんの遊ぶもの??そんな方が多いかもしれません。

わが家には、10、8、5歳の3人の子どもがいます。0歳〜10歳になった今でも、長い間遊んでいるおもちゃが、積み木です。小学生も大人も楽しめます。

「3人子どもがいると、一つの小さな社会ができる」

…こんな話を聞いたことがあったのと、私が3人姉弟、夫は5人兄妹で育ったため「3人は子どもがほしいよね〜」なんて無邪気に考えていました。しかし、今だから言います。

3人子育て、めっっっっっちゃ、大変!!!!

大人は2人なのに、子どもが3人いる。この事実のおそろしさ、子育て中の方はピンときてくれるのではないでしょうか。私たち家族にとっては、積み木で一緒に遊ぶ時間が少しほっとする時間になっていました。3人の子どもたちがよく遊んだ木のおもちゃと、成長に応じた遊びの様子をご紹介します。

積み木
児童館のような景色になってしまった家

あるおもちゃ屋との出会いが、積み木熱に火をつけた

長男が1歳前後の頃、「木のおもちゃっておしゃれで可愛いけど高いよね〜」くらいの認識で、家にもほとんどありませんでした。

おもちゃの収納について悩み検索していたときに、偶然、百町森(静岡県)という、絵本やおもちゃを扱う店の店主、柿田さんのコラムと出会います。

「片付けは棚で」

「いつも同じ場所に同じものを見せるようにしまう。大人がこのことを繰り返せば、子どもはそれを覚え、大人が間違えた場所にしまおうとすれば、反対に指摘されるほどです。さらに、こうした片付け方は、明日また続きを遊ぶのも簡単、遊びがどんどん発展していきます。(HPより引用)」

他にも、「しゃべるおもちゃは子どもの想像力の邪魔をしてしまう」「使い捨てのおもちゃを与えない」などのコラムにとても納得。HPをすみずみまで眺めるうちに、百町森で扱っている、ヨーロッパのおもちゃと出会いました。

詳しく知りたくなり、このコラムが本になった、柿田友広著「プーおじさんの子育て入門」をすぐに購入。

・ヨーロッパの木のおもちゃには、30年以上形を変えずに作り続けられているものが多く、パーツも注文すれば補充できる。長い間楽しめ、子へ孫へと引き継いでいる人もいる。

・プラスチックや動力のあるおもちゃに比べ、地味でとっつきにくいが、子どもが本来持っている遊ぶ力や想像力をじゃましない

・木のおもちゃはほとんどが壊れても、木工用ボンドで直すことができる

・子どもにおもちゃや絵本などの「道具」を与えるのは、医者の体温計や血圧計のようなもの。その子がおもちゃとどう関わるかによって、興味や関心が見える

ヨーロッパのおもちゃの魅力や、子育て観がつづられていて、読みながら前のめりになっていたと思います。おもちゃを作っている方たちが「子どものため」を思って作っている。「子どもと積み木で遊びたい!」と考えるようになりました。

 

わが家で長く活躍している木のおもちゃ

長く遊べるとはいえ……積み木の価格にビビっていた私。まずは、同じく百町森で勤務していた相沢康夫さんの著書「おもちゃの王様」の中で「乳児のおもちゃの王様」と紹介されていた「プラステン」と、当時長男が児童館でよく遊んでいた「ハウスクーゲルバーン」を購入しました。

長男が2歳になる頃で、次男を出産したとき。私が出産のため入院している間楽しめるように、お兄ちゃんになった記念に、と長男にプレゼントしたものです。おもちゃの一つ一つに思い出があり、子どもたちにもエピソードを話すと嬉しそうにしています。

 

プラステン(ニック社)

5本の棒に、10個ずつの5色のコマをさすおもちゃ。ひもやサイコロがついているので、ひも通しや、サイコロで出た色をさす遊びもできます。

積み木

1歳前後はひたすら棒から出してぶちまけます。親としては発狂します。ぶちまけるのは、砂場などで遊ぶのと似た感覚。「思いっきりさせてあげたい☆」と思ったものの、そこまで聖なる母にもなれず、「もう少し大きくなるまで隠そうかな」と悩んだこともありました。

長男が3歳、次男が1歳のころは、バラバラにして、おままごとの具材としてよく使っていました。2人がコップにプラステンのコマを詰めて、「ぶどうジュースできました〜」「ぶっどじゅーしゅ、でった〜!」とやりとりをしていたのは今思い出しても悶えます。お金に見立てて、ごっこ遊びにもよく使っていました。長きに渡り大活躍!

積み木
プラステンのコマをジュースにしていた3歳と1歳の息子たち。後ろの落書きが2歳差育児のてんやわんやを物語る

 

ハウスクーゲルバーン

家のような形をしたコースに約4センチ大のボールを転がして、最後にベルがなります。玉が転がる様子を眺める、シンプルなおもちゃです。

生後8〜9ヶ月の頃は、私が転がすのをただ眺めていた長男。徐々に自分で転がそうとしはじめ、初めは入り口に玉を入れられず、道の途中にボールを乗せていました。11ヶ月頃に、自分で初めて入り口に玉を入れたのです。そのときの満足そうな表情を今でも覚えています。「できた!」の瞬間をたくさん味わえるのも、木のおもちゃの魅力かも知れません。

後から知りましたが、子どもは繰り返しの動きを眺めると気持ちが落ち着くんだそう。シンプルですが、現在10歳になった長男もふとしたときに転がしているし、遊びにくる友達も触りたくなるようです。間違いなく、わが家でよく遊ぶおもちゃナンバー1。シンプルなスロープを転がるおもちゃは、一つあると長く楽しめます。

▼今では「ピタゴラスイッチ」を作るときのスタートになっています…!アイデア無限大。

 

おもちゃの主食!白木の積み木がやってくる

塗装されていない白木の積み木は、「おもちゃの主食」と言われています。子どもたちの想像のじゃまをしないとされ、例えば何か動物を作ったときに、ある子にとってはそれは「象」かもしれないし、別の子にとっては「キリン」になる。まさに白米。この自由度が、白木の積み木の魅力の一つです。

ただ、ダイナミックな作品を作ろうと思うと、どうしても数が必要になります。重いし、高い。ほしいけど、どうしよう……と迷っている間に、長男は4歳になっていました。当時次男は2歳。ワーキングマザーだった私がちょうど退職し、時間に余裕が生まれた頃でした。

「今だったら積み木で一緒に子どもたちと遊べるかも」

そう思い、父にリクエストして次男の誕生日にプレゼントすることに。(基本的に、スポンサーは私の父多し。娘に甘い系父。いつもありがとう。)

こうして、ツヤツヤと輝く白木の積み木がわが家へやってきた!子どもにとっての白米は、変幻自在。白木の積み木遊びの変化ぶりを、ご覧ください…!

積み木
次男2歳。私と長男が積み上げたものを崩そうとしているところ。1〜2歳は崩すの大好き
積み木
長男4歳。立体パーキングを作っていました。乗り物好きな彼らしい
積み木
次男5歳。恐竜が好きでよくジュラシックワールドめいたものを作っていた
積み木
末娘3歳。自分が中に入れるくらいダイナミックに遊べる
積み木 
10歳になると迫力のあるものを作ります。感覚的にひょいひょい積み上げている

現在10歳と8歳の長男と次男は、5歳前後からビー玉を転がすコースを作ったり、ドミノ倒しをしたり、動きのある遊びを好むようになりました。これらは何回も失敗しながら作っていて、集中力と根気が必要です。

積み木
ドミノを作る次男。途中で何度も崩れてしまい、半泣きになりながら作りあげた

今は、息子たちは「コマ撮りアニメ」を作るのにハマっています。ここにも積み木が登場。「コマ撮りアニメーターになりたい!」と、日々せっせと作っています。積み木がこうなるとは予想外で、思いもよらなかった遊びが、日々飛び出しています。

 

「大人にはもったいない」恋焦がれたネフ社の積み木

積み木の中でも、1958年創業のネフ社(スイス)の積み木は「世界最高峰のおもちゃ」とも呼ばれています。1点1点に採用したデザイナーがいて、デザイナーの名前がパッケージにしっかりと書かれています。手作業で職人たちによって作られるため大量生産はできません。素材は子どもの口に入れても安心な塗料や、ヨーロッパの厳しい基準をクリアした木材を使っています。私にとって、長年憧れの積み木でした。

キュービックス(ネフ社)

10cm四方の立方体を10個のパーツに分割した積み木。かなり複雑な積み方もできるので、大人も楽しめます。グラデーションになった色も魅力的。これを子どもが触った時の発想を見るのが面白い!数学者でもある、ピエール・クラーセン氏デザイン。

積み木

百町森の店員でありながら、ネフ社が好きすぎて日本人初のネフ社デザイナーになった相沢康夫さん。相沢康夫著「好きッ!絵本とおもちゃの日々」によると、キュービックスを見た人が「ピエール、こりゃ子どもにはもったいないシロモンだね」と言うと、クラーセン氏の回答は「NON!大人にはもったいない」だったと言います。つまり、五感というものは大人より子どもの方が鋭いということ。

子どもにこそ最高のものをという気持ちで作られているおもちゃです。発言も、数学者でおもちゃデザイナーという生き方も、かっこいい…!

本ではキュービックスをはじめ、相沢さんご自身が絵本やおもちゃで3人のお子さんたちと一緒に楽しんでいる様子がつづられています。おもちゃへの熱量と、お子さんたちに対する観察眼がお見事。コミックエッセイ形式で読みやすく、「こんなふうに子どもと過ごしたい」と私の子育て観を変えた1冊です。今や10歳の息子も愛読。積み木オタク仲間です。

積み木
長男9歳時の作品。下の青い部分が「キュービックス」。精度が高いためバランスよく積める

子どもたちを見ていると、年齢や好みに応じて、それぞれ自由に遊んでいるのがよくわかります。赤ちゃんの頃から積み木に囲まれている末娘の遊びの変化は特に面白い!息子たちが小さい頃に思い切って買えば良かったなあと少し後悔もあります。

積み木
末娘が3歳の頃に作っていた。キュービックスにお人形を乗せて「電車が出発しまーす」

木のおもちゃで一緒に遊ぶことによって「この子は乗り物が好きなんだ」「この子は恐竜や動物に夢中だなあ」「こんな積み方もできるようになったのね!」と、子どもの興味関心や成長を実感できました。

 

親子時間を楽しくしてくれるものとは

これだけ書いておきながら、「絶対に積み木で遊ぶべき!」とは思っていません。

SNSを見ていると「積み木であまり遊ばない…」と悩んでいる方がいて、私もときどき相談をもらいます。こうしてまとめて見ると、わが家の子どもたちが積み木で創造的な遊びばかりしてきたように見えるかも。でも、積み木で遊ぶ時間は一部です。私もSNSを見て、大作や芸術的なものを作っている子たちを見て、焦ることもありました。今、うちの子たちが一番好きなのは、紙と鉛筆(笑)。漫画やイラストをよく描いています。

積み木
末娘3歳の頃。積み木でケーキを作っている

親子で一緒に楽しむ時間が持てたこと、赤ちゃんが歩けるようになって感動したような気持ちで、遊びの変化を見られたこと。これが良かったと思っています。キャンプ好きならキャンプに子どもを巻き込む、料理好きなら一緒に作ってみる、好きなアイドルの歌を一緒に歌う。親が楽しそうにしているものや好きなものは、子どもも心惹かれるのでは……!それがたまたま積み木だったのかなあと思います。

積み木
コロナ禍の休校のときに、10歳の長男が1人でコツコツと積み上げて山を作っていた
積み木
3人それぞれ積み木で遊んでいると、少し静か

私が今ライターとして文章を書いているのも、積み木遊びの様子をInstagramで発信していたことがきっかけの一つ。そう考えると、子どもたちだけではなく、私にとっても大切な趣味かもしれませんね。これからも子どもたちや近所の友達の遊ぶ様子を、じっくりと観察していきたいと思います。

ABOUT US

片岡 由衣
フリーライター。東京都町田市出身、沖縄県竹富島在住。星野リゾートで広報やイベント企画に携わる。3人の子育て発信を続けるうちに、専業主婦からライターへ。講談社コクリコでの竹富島移住コラムをはじめ、メディアで執筆。児童館のような家で暮らしています。