文章書くならBUMP OF CHICKENを聴け!!

文章書くならBUMPOFCHICKENを聴け!!

「なぜそんなに文章が上手なんだい?」

青いベンチに座った僕に誰かが問いかける。

「何かコツでもあるのかい?」

コツならいくらでもある。見えないものを見ようとしたり、落っことしたものを拾うために来た道を戻ったり、守りたい人を誇ったり……これらを文字化して文末にオーイエーアハーンと付け加えれば、君たちのハートに巻いた包帯を解くことのできる文章が書けるのさ。

「ぜひ、僕たちにも教えて欲しい!」

神様気分の王様である僕は「ラララ」と口ずさみ大気を震わせ、到着した腹ペコのバスに乗りながら答えた。

「BUMP OF CHICKENを聴け!!!」

BUMP OF CHICKENが物書きにもたらすモノ

物書きをしていると比喩表現が文章を書くうえでいかに重要かがわかる。比喩表現を上手に駆使できれば文章を何倍にも魅力的にすることが可能だ。

比喩……ある物事を、類似または関係する他の物事を借りて表現すること。たとえ。
※「weblio」比喩の項目より引用

比喩法が使われている例文

・バンドマンイトーさんは往年のロックミュージシャンのような名前だがバンドはしていない。

このような比喩が自在に使えれば、例えば難しいテーマを扱う記事を書く場合に一般的なものに置き換えてわかりやすく伝えることが可能だろう。

また、長い文章を書く場合は箸休め的に比喩表現でクスっと笑える文章を挟み込んで、読者を飽きさせずに最後まで読ませることができるだろう。

しかしこの比喩表現というものがなかなか思いつかずに悪戦苦闘してしまう。適当な比喩が思いつかず、締切に追われ「あぁちょっと待ってくれぇ!」と叫ぶ人もいるのではなかろうか。

そこで比喩表現を身につけるためにお勧めしたい勉強法が「音楽の歌詞をよく聴くこと」である。音楽の歌詞には想像も絶するほどの表現が盛り込まれている。それもそのはずで、一曲あたり5分前後という限られた短い枠の中で伝えたいことを全て相手にぶつけなければならない。必然的に様々な表現が曲の中に濃縮され、わかりやすく飽きさせず最後まで聴いてもらえるものに構成されているのだ。つまり、音楽を聴いているだけで君はかつてないほどに魅力の溢れる文章を書くことが可能になるだろう。それほどまでに音楽は様々なことを気づかせてくれる。

そんなわけで、比喩表現を学びたい人はぜひとも音楽の歌詞に目を通して欲しいのだが、世に出ている音楽があまりにも多すぎる。いったい何を聴けば良いのかわからない。適当に手に取ったら無音が4分33秒間流れる曲だったんだけどどうしてくれんの?というかこれ曲なの?という苦情が入るかもしれない。

そんな苦情を前もって回避するために、比喩表現を学べるアーティストを声高に叫ぼう。

その名は「BUMP OF CHICKEN」(以下バンプ)

バンプはメンバー4名で構成されるバンドだ。2000年初頭のインターネット黎明期に、ネットの海に飛び込んだ人なら聴き馴染みのあるバンドかもしれない。というのも、バンプの歌詞は中二病を患った人にうってつけのテーマが豊富に盛り込まれている。「弱い自分だぜ……そんな自分でも勇気を振り絞って生きるのさ……」とか「俺は孤独さ……でもやっぱりみんなといたいぃぃぃぃぃ!!」とか、とにかく愛だとか友情だとかは二の次で、自分自身との対話をテーマにした曲が多く存在する。歌の中で「君」という単語が現れたら大多数の人は「恋人」とか「友達」を連想するだろうが、バンプの曲に出てくる「君」はほとんどの場合「弱い自分」を表している。そしてそんな弱い自分をテーマにした曲が中二心をこれでもかってぐらい刺激してくる。

当時のネット住民はリアルで友達いないからネットの海に逃げ込んでやるぅ!みたいな人達しか存在していなかった(※偏見です)ので、そこかしこに中二病患者がいた。そんなネット住民の心にバンプの曲は突き刺さり、今はなき「FLASH」という媒体を駆使してバンプのPVのようなものが量産・拡散されていった時代があったのだ。まさに、ネット住民にとってのアイドルだったのだ。

そんなバンプの曲は何と言っても比喩表現が素晴らしい。「表現がうまいアーティストはいっぱいいるからねぇ……まぁ強いておすすめをあげるならバンプかな……」とかそんな生易しいレベルではない。むしろ他のアーティストの曲とか聴かなくてもいい、バンプだけ聴いとけば比喩表現を欲しいがままにできるよ。バンプだけ聴いとけ。バンプこそ至高。バンプ最高。バンプ大好き。

バンプの曲はほとんどの曲に比喩表現が盛り込まれている。さらにバンプの魅力を語る上で外せない点として、物語性にも着目してほしい。一冊の小説を読んでいるような気分にさせてくれる曲が数多く存在する。この“物語性”というのも物書きにとっては重要で、きっとバンプを聴くことで文章の構成力も身に着くはずだ。恐らく。多分。

そんな2つの視点からバンプをおすすめしたいのだが、やはり曲数が多いからどの曲を聞けばいいかわからないという人もいるだろう。適当に聴いてみたらひたすら「イカ」を連呼してるだけなんだけどどうしてくれんの?とか苦情が入るかもしれない。そんな苦情を前もって回避するために、おすすめのバンプの曲を紹介していこうと思うのでちゃんと読んでおく事!いいね?

※この記事はバンプ好きなバンドマンイトーさんがただただ好きなバンプの曲を紹介するだけの記事です。

BUMP OF CHICKENのおすすめ曲:比喩編

ハンマーソングと痛みの塔

2007年にリリースされたアルバム「orbital period」に収録されているのがこの「ハンマーソングと痛みの塔」だ。

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みんなの注目を浴びるために“心の痛み”を詰め込んだ箱を塔のように積み上げ目立たせていくという、例えるなら「今から死ぬから」と深夜2時にLINEをしてきそうなメンヘラを主人公にした歌詞となっている。

凡人の僕たちがメンヘラを題材にしても「え、今から?頼むからギルガメッシュないとを見させてくれ……」みたいな三文芝居しか思いつかないだろうけど、バンプは僕たちとは違う。天才だから。

この曲では“心の痛み”や、みんなから注目されたいという“承認欲求”を、“箱”や“塔”で表現している。箱(=心の痛み)をどんどん積み上げることでとても高い塔を作り、皆の注目を一時的に浴びる(=承認欲求が満たされる)も、最後は高く積み重ねすぎて誰の視界にも入らなくなってしまうというストーリーになっている。

心の弱さ、そしてそんな弱さに気付いてほしいというかまってちゃんの思考をうまく別のものに置き換えて表現している。まさに天才がなせるわざである。

これを聴いた人は「自分もこういうところあるよな……」と反省という名の自己陶酔に浸り、かえってナルシシズムを助長し最終的に手の付けられないメンヘラとなってしまう。完成度が高すぎてメンヘラ製造機となってしまった悲しい曲である。

かさぶたぶたぶ

同じく2007年発売の「orbital period」に収録されている曲。

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タイトルの通り“かさぶた”を主軸に歌った曲である。この曲は比喩の1つである擬人法を使い、かさぶたに思考を持たせてストーリーを進ませていく。これだけ聞くと凡人の僕たちは「かさぶたが主人公とかくだらなそうな唄だなー!」と悪態ついてしまうかもしれないが、バンプは違う。天才だから。

1回でも聴くとその奥深さに酔いしれること間違いなしだ。僕が保証する。

友達と喧嘩をし、膝をすりむいてそこに生まれたかさぶた。お風呂に入ると傷に染みて涙が出るけど、涙の理由はそれだけじゃないだろ?大好きな友達と喧嘩したからだろ?大丈夫、君たちの間に生じた傷は元通りになるさ、君の膝にできた傷が治るように。かさぶたである僕がいなくなるころには仲直りさ!

そんな話が広がる曲なのでとりあえず1回は聴いてほしい。タイトルで一笑に付したかもしれないけど1回は聴いてほしい。まず間違いなく号泣するから1回は聴いてほしい。絶対に人生のバイブルになるので1回は聴いてほしい。

……聴いたかな?たかがかさぶたと侮ってたでしょ?かさぶたに泣かされるとは思いもしなかったでしょ?かさぶたで泣かせることに関してはバンプの右にでるものはいないんですよ。

この曲を聴いたあなたは明日からかさぶたに話しかけるようになると思う。かさぶたのことを物凄く愛しく思えるようになる。なんならかさぶたにたうためにアスファルトの上でスライディングをかますようになるかも。そんな奇特な人をこの世に量産させる罪深き名曲に仕上がっているので、まわりでかさぶたを剥がしている人がいたら「かさぶただって生きているんだよ」と微笑みながらかさぶたぶたぶを勧めてほしい。

夢の飼い主

2004年にリリースされた「車輪の唄」のカップリング曲。アルバムだと2008年発売の「present from you」にも収録。

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誰もが持っている「夢」をペットに見立てた歌詞になっている。

曲を聴いただけだと、ペットとその飼い主の物語にしか見えないのだが……付けられたタイトルで全ての意味が回収される。比喩表現だけでなくタイトルの重要性までをも物書き達に教えてくれる、まさに物書きにとってはお手本のような曲であるといっても過言ではない。凡人の僕たちだとこの歌詞を作ったところで「犬物語~ワンダフルドリーム~」とかそんなタイトルしかつけられない。でもバンプは違う。天才だから。

そもそも、これほど奥の深い名曲をシングルのカップリングとして収録すること自体狂ってる。シングルのカップリングといえば、なんとなくおまけ要素が強いと思う。しかしことバンプに関してはそんなことはない。カップリングも名曲ぞろいだ。

話が少しそれるが、物書き達の間には「全く関係ない二つのものを繋げて文章を構成する」という手法が存在する。夢の飼い主はまさにその手法が使われている。夢をテーマにしているのだが、夢とは全く関係のないペットを主軸に歌詞を構成することで直接的に表現した場合よりも、より身近な存在として感じられるように夢を昇華している。

もう一度言うけど、これがバンプのカップリングだ。

夢をあきらめたそこのあなた、この曲を聴いてみて欲しい。3日間は嗚咽を垂れ流しながら人に触れたい気持ちになるだろう。大丈夫、君がこの曲を聴いて泣き続けても、誰かが鉄パイプ持って泣き顔で笑わせにくるから心配せずに聴いてほしい。最高の曲だ。

ランプ

1999年に発売のファーストシングル収録曲。

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ファーストシングルにもかかわらず、すでに歌詞が完成されている。

自分の中の“情熱”をランプに見立て、さらにそのランプに火を灯すためのマッチを“勇気”とおくことで、2つも比喩表現が使われている。落とした夢や理想といった類を見つけるため、震えながらも手に取ったマッチを使い勇気を振り絞って情熱という名のランプに火を灯し闇を彷徨う。そんなことを歌っているので、弱い自分を奮い立たせてくれるおすすめの曲だ。情熱をランプで表して一曲、勇気をマッチで表して一曲、計二曲もできるじゃん!と思いつきに乏しい凡人の僕たちだと考えてしまうが、バンプは惜しげもなく一曲に集約させてしまう。天才だから。

貴重なネタをいくつも思いついてはメモにまとめる物書きなら、ネタを出し惜しむこともあるかもしれない。今日は三つネタを思いついたから三本ぐらいは記事を書けるかもなー、という発想は捨てて自分の人生全てをネタだと思い、出し惜しみなく一つの原稿に向き合うことを教えてくれる、そんな曲なのかもしれない。違うかもしれない。

ちなみに、ファーストシングルとして発売されたこのCDだが、当時はまだインディーズレーベルであったがために時期を過ぎたらなかなか手に入らない代物だった。ランプという楽曲は後発のアルバムにも収録されているので曲自体の入手は可能なのだが、バンプファンの僕としては是非とも入手したいCDであった。しかし、僕がバンプを好きになった頃にはすでに入手が困難で、当時のヤフオクで8倍ほどの価格で取り引きされているのを見て、僕はバンプに試されていると思った。しかし当時中学生だった僕にそんな大金が財布に入っているわけもなく、結局入手できなかったので僕の中では幻のCDとなっている。

この状況はバンプファンの中では共通認識だったので、僕は出会うバンプファンに「俺、ランプのCD持ってるよ、バンプとの出会いはそれが初めてだったね」とマウントを取るために嘘を吐いていた。幾度目の朝もあの優しい嘘を思い出してしまう。

さらに余談だがシングルCD「ランプ」に収録されているカップリングの「バトルクライ」という曲は、5年後に発売されるアルバムに収録されるまでは「ランプ」にしか収録されていなかったので、どちらかというとバトルクライの方がレア度の高い曲だった。残念ながらランプのCDを持っていなかった僕は後発のアルバムが発売するまでバトルクライを聴いたことがなかった。

そのため「俺、ランプ持ってるよ」と先述のエセバンプファンを演じていると、ごく稀に「ランプのCD持ってるんだ!ランプもいいけどバトルクライもいいよね!」とガチバンプファンから痛恨の一撃を返されることがあったが「あ……い、いいよね。さすが藤くんって感じの曲だよね」と自分にひとつ嘘をついて、ずっと強がってやり過ごしていた。

ともかく、そんな記念すべきファーストシングルの表題曲なのでバンプファン同士で語るときは一番最初に話題にあがる曲といっても過言ではない。というか、バンプファンならば一番最初にこの曲を上げるべきだ。一番最初にこの曲をあげないやつはモグリのバンプファンだと思った方がいいかもしれな。

分別奮闘記

2010年に発売のアルバム「COSMONAUT」収録曲。

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タイトルの通りゴミの分別に奮闘する曲なのだが、この曲も先述の夢の飼い主と同様に“夢”がメインテーマとなっている。つまり、夢をゴミに見立てて歌っている。

自分の持つ夢が燃えるゴミなのか、それとも燃えないゴミなのか、そもそもゴミなのか、捨てていいのか。ゴミにしたいのも自分だし、ゴミにしたくないのも自分。そんなことを赤裸々に歌っている。こんな歌を凡人に歌われた日には「いやいや、そんな押し付けがましいことしないでくれませんかね〜」と反発したくなるが、バンプに歌われるとイケメン俳優に誘われた時と同じように無条件で受け入れてしまう。天才だから。

ここまで読めば察した人もいるかと思うが、バンプの作る曲には自分を見つめなおすきっかけを与えてくれる曲が数多く存在する。バンプの曲を聴いていると、自分という存在の深いところまで言及していきたくなる。自分は何をしたいんだっけ、自分はどういう人間だっけ、何をすれば理想の自分になるんだろう、自分の理想はなんだろう、自分の感覚を信じればいいのか、そもそも“自分”ってなんだ?他者が存在するから自分なのか?仮に他者が存在しなかったら自分は存在しないのか?自分が存在しないならこの世界はなんだ?しかし自分が存在しないなら“自分を疑っているこの意識”はどこから湧いてくるんだ?自分の存在を疑っている自分の意識は確実に存在するのだから、やはり自分というものは存在しているのではないか。まわりの存在を全て疑っても、自分の意識だけは存在するのか!

こういった考えをもとに誕生したのが、哲学者であるルネ・デカルトが提唱する命題「我思う、ゆえに我あり」であることはあまりにも有名な話である。

バンプには哲学的な曲が多いので、高尚な文章を書きたい人の参考にもなると思われる。そういう人にも分別奮闘記は聴いてほしい。

ハルジオン

2001年にシングルでリリースされた曲。

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この曲は「揺るぎない信念」をハルジオンという花に例え唄っている。ハルジオンと言えば、そこらへんの道端でも見られるほどに繁殖力を持っておりどんな貧乏な家にも生えるとのことから別名「貧乏草」とも呼ばれている。(由来は諸説あります)

僕ら凡人のロックミュージシャンがハルジオンの別名を知ると「貧乏草?いいね!次の曲はハルジオンを題材にしようZE!」とヴォーカルが言い出し、「オーケー!俺らみたいな雑草にはふさわしいテーマだZE!」とギターが乗り、「それならこんな感じかだZE?」とドラムがおもむろにポコペンポコペンと叩き出し(うるさい)、「ストリングス以外の音色ならなんでもいいZE」とキーボードが意見し、ベースは無言でたたずみ、安直に曲のテーマが決まってしまうが、バンプはそんな安直な考えでテーマを決めない。天才だから。じゃあなんでハルジオンを題材にしているかというと、凡人の僕たちでは到底思いも及ばないような理由で“あえて”ハルジオンを題材にしている。その理由を語りたいのだが残念ながら余白が足りないのでここでは割愛する。

さて、この曲は自分の中の揺るぎない信念をハルジオンという花に置き換えているのだが、僕が一番注目してほしい点は別にある。ハルジオンを育てるということは当然に水をあげないといけないのだが、水をあげるという行為を歌詞の中では「虹を作ってた」と表現している。これが逸脱した表現だなと心の底から感服する。“ジョウロで水をあげていた”ではなく“ジョウロで虹を作っていた”と表現することで、水をあげるという行為に別の意味も持たせている。多くの場合に虹は、夢や希望の象徴として描かれる。この曲に関しても夢や希望の象徴を虹で表しているのだが、それと同時に虹はいくら頑張っても触れられない存在でもある。つまり、ハルジオンが枯れないように虹を作りながら水をまいているけれど、いつまでたっても夢や希望に届かないという意味が歌いだしにある「虹をつくってた」に集約されている。それでもその行為を続けることによって、夢や希望に手を伸ばし続ける信念を持つことを表現し、聴く人々を勇気づけているのだ。

……な?天才だろ?

ここまで凄い表現がこの世に存在しているって知ってた?僕はバンプに出会って初めて知った。手っ取り早く世界の真理に気づきたいのならぜひこの曲を聴いてほしい。きっとこの曲がもっと多くの人に聴かれれば世界はもっと平和になるはずだ。

BUMP OF CHICKENのおすすめ曲:物語編

ダンデライオン

2002年にリリースされたアルバム「jupiter」収録曲。

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このダンデライオンは物語性が強い曲のトップバッターを飾るにふさわしい曲だ。

曲中の主人公は1匹のライオン。ライオンはあまりの強さに他の動物から疎まれていたため、サバンナでは嫌われており一人ぼっちになっていた。そんな中で出会うのがタイトルにもなっている一本のタンポポ(ダンデライオン)だ。寂しくなくなったライオンがタンポポのもとに通い詰めるというのがこの曲のおおまかなストーリーなのだが、ラストまで聴けば君は号泣すること間違いなしだ。僕ら凡人が孤独なライオンにできることとしては「しーんぱーいないさあああ!」と上半身裸で慰めることぐらいしかないが、バンプはタンポポを用意しちゃう。天才だから。

ライオンの孤独、そして孤独を紛らわすタンポポの心温まるハートフルストーリーではあるのだが、実を言うと僕はこの曲に一つの疑問を抱えている。それは本当にライオンとタンポポは意思の疎通をしていたのか、という点だ。

曲中は、お互いがコミュニケーションをとっているような描写はあるものの、タンポポは明確に意思表示をしていないようにも捉えることが出来るのだ。例えば、ライオンの問いかけにタンポポが頷く描写があるのだが、歌詞では“吹き抜ける風と共に一度だけ頷いた”とある。つまり、たまたま風が吹き抜けてタンポポがタイミングよく揺れたのをみたライオンが、頷いたと思い込んだようにも捉えることが出来るのだ。そうなると完全にライオンの独りよがりの曲なのだが、それでもライオンは幸せそうなラストを飾る。

「孤独なライオンは、一本のタンポポという友達によって救われた」という解釈もできるし、「孤独なライオンは最後まで孤独だったけど、本人が幸せそうだから全てヨシッ!」という解釈もできる。

もちろん物語としては前者の解釈の方が断然いいのだが、後者においても「その人の考え方次第で幸せにも不幸にもなる」ということを教えてくれているようにも思える。答えはバンプしか知らない……

このようにただ物語を展開するだけでなく様々な解釈や教訓が詰め込まれているので、気になった人はぜひ聴いて「しーんぱーいないさあああ」と叫びながら号泣してほしい。

K

2000年にリリースされたアルバム「THE LIVING DEAD」収録曲。

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恐らく数多くの元気ハツラツな中学生を中二病の道に引き込んだ曲。中二病を患った直接的な原因は、多くの場合この曲かファイファン7のクラウドであることが統計学的な見地からも明らかになっている。このようにしてバンプは数多の凡人の僕たちを中二病患者に導いたのだ。天才だから。

この曲は孤独な黒猫が主人公である。先ほどのダンデライオンといい、バンプの曲の主人公になるためには「孤独な猫科」であることが絶対条件なのかもしれない。

孤独な黒猫がさまよっていると、1人の売れない絵描きと出会うところから物語はスタートする。同じく孤独であった売れない絵描きに同じような境遇の黒猫はすぐに打ち解け仲良くなる。絵描きはその黒猫に「聖なる夜(ホーリーナイト)」というキラキラネームを授けるも、絵描きは貧しい生活に倒れてしまう。倒れた絵描きは黒猫に「故郷の恋人に手紙を届けてくれ」と最後の頼みを授ける。そして走り出す黒猫。満身創痍になりながらも遂に絵描きの恋人の家に辿り着き、恋人は黒猫の名前にアルファベット1文字を加える、というお話。

この1文字がタイトルにもなっている「K」であることは自明の理である。

もともとの黒猫の名前だった「聖なる夜」にアルファベットの「K」を加えると……

 

 

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学生時代に英検4級に惜しくも落ち、あの日と違うのは髭の生えた顔ぐらいである凡人の僕には「K」を加えることでどうなるのかはわからないが、多分天才のバンプが考えることだからあっと驚くようなギミックが仕込まれているに違いない。ぜひ「K」を聴いて天才が考えるこの難問にチャレンジしてほしい。

ラフ・メイカー

2000年にリリースされたメジャーデビューシングル「ダイヤモンド」に収録されているカップリング曲。

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恐らく数多くの元気ハツラツな中学生を中二病の道に引き込んだ曲パート2。中二病を患った直接的な原因は、多くの場合この曲か幽遊白書の飛影であることが統計学的な見地からも明らかになっている。

ラフメイカーはその名の通り、泣いている誰かを笑わせるために奔走している人物を主人公にした曲だ。この曲について書こうとしたところ、僕はある人物を思い出した。それは中学時代の友人であるタケシだ。タケシも僕と同様に無類のバンプ好きだったので、当時まだ知名度が高くなかったバンプの深い話まで共有できる数少ない友人であった。彼がどれぐらいバンプ好きだったかというと、彼はバンプにはまってからというもの常にアコースティックギターを担いでいた。夢はバンプみたいな曲を作って歌うことだといつも言っていた。とある日、タケシと自転車で走っていた。その時も彼はアコギを担いでいたが、バランスを崩したのか並走する僕に突っ込んできて、二人とも盛大に転倒した。体中を擦りむき、真紅の血が固いアスファルトのうえに雫になって落ちた。あまりの激痛で涙目になりながらタケシの方を見てみたら彼はピクリとも動かない。「死んだか?」と思いながらもタケシをゆすった。すると、動いたんだ。僅かでも、確かに。「大丈夫か?」既に満身創痍にも関わらず、ちぎれそうな手足を引きずり僕はタケシに聞いた。彼は首だけこちらに向け答えた。「お前の泣き顔、笑えるぞ」タケシも涙を浮かべながらそういった。ラフメイカーだ。僕の目の前にラフメイカーがいる。でも僕は怒った「ラフメイカー!?冗談じゃなぁぁぁい!!!事故ったのはお前が原因なのにバンプの真似とかしてんじゃねえええ!!!」僕は心底あきれるだけで、ちっとも笑顔にはならなかった。

ラフメイカーってのはそんな曲です。

fire sign

2004年にリリースされたアルバム「ユグドラシル」収録曲。

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この曲の詞は、リリース当時にバンプがそれまでに作った曲をモチーフに構成されている。例えば本記事で紹介した「ラフメイカー」、「K」、「ランプ」に登場するキャラクターや情景を切り取り、落とし込むことによってfire signという曲に仕上げているのだ。

物書きは文章を書くだけでいいのだろうか。書かれた文章は誰かに読まれないと意味がないのではないか。では誰かに読まれるように行動することも大切なのではないだろうか。バンプは天才だからそれをやってのけてしまう。自分で作った過去の曲たちに、新しい命を吹き込むべく、過去の曲が輝くようなステージを新曲としてリリースしたのだ。その時、バンプファンだった人は過去の曲を懐かしみ振り返って聴き直してみただろう。バンプに触れた最初の曲がfire signだった人は、過去の曲にも興味をもち聴きだすだろう。

このように、マーケティングすら自分たちでやってのけてしまうのがバンプが天才たる所以なのだ。

みんなも、自分の過去の成果物を見直してみてはいかがだろうか。恥ずかしさのあまり卒倒することもあるかと思うが、その感情を押し込めて世に出せば新しい世界が広がるかもしれない。バンプのように……

BUMP OF CHICKENのおすすめ曲:番外編

レム

2004年にリリースされたアルバム「ユグドラシル」収録曲。

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番外編として、最後に一曲だけ紹介しよう。

今まで再三にわたりバンプの曲のすばらしさを語ってきた。「孤独」だとか「冷めたフリ」だとかをテーマにしている曲が多いことは皆さんにも理解していただけただろう。なんなら既に中二病を患った人もいるのではなかろうか。

そんな中で紹介するこの「レム」は中二病患者を一刀両断する曲である。

狂ったふりが板について 拍手モンです 自己防衛

それ流行ってるわけ? 孤独主義 甘ったれの間で大ブレイク

※引用:歌ネット(https://www.uta-net.com/song/20233/)

上記は「レム」の歌い出しの歌詞なのだが、バンプに影響され「俺はどうせ孤独なんだ……」とか考えているファンを歌い出しからぶった切っている。なかなかの鋭さだ。

誤解しないよう伝えておくと、この曲は決してバンプによるバンプ曲の批判ではないということ。バンプの曲は先に紹介したように、孤独とか冷めたフリとかを代表するような、世界の中で斜に構えている人や考え方をテーマにしているが、最終的には「人に触れることで感じる優しさ」とか「冷めたフリしててもやりたいことは決まってるんだろう?」というように、最後には斜に構えた考えだけじゃだめだよと柔らかく否定してくれている。そのためバンプ曲の批判では決してないのだが、ここで思い出してほしい。多くのバンプファンは中二病を患っていることを。つまり、バンプが最後に言いたいことは右から左に流れ「俺はいつだって孤独さ……」の部分のみを良いように解釈して自己陶酔している人がたくさんいるのだ。そしてそんな勘違い野郎たちを一掃してしまったのが「レム」だ。

僕自身も典型的な斜に構えたがり人間なので、当時「レム」を聴いたときにはハートブレイクショットを心臓に直接打たれた感覚に陥り、一時危篤の状態まで追い込まれた。まさかワクワクしながら新曲を聴いたらいきなり日本刀で切りつけられるとは思いもよらなかったのだ。天才が凡人たちを全力で潰しにかかってきたと思った。

しかし僕はバンプファンをやめなかった。今までのバンプ曲を全て聴き直し、バンプの言いたいこと、伝えたいことを改めて考え自分なりに解釈をした結果、やっぱりバンプは素晴らしいんだなと思い直すことが出来た。

恐らく他のファンも同じような状況だったかもしれない。そこでバンプファンを継続した人は、ある意味「レム」により選び抜かれたエリートバンプファンなのだ。

そんな毒にも薬にもなる曲なので、いくつか他のバンプ曲を聴き、斜に構えだしたところで、この曲に触れてみてはいかがだろうか。

最後に

今回は比喩表現や物語性といった視点で一部のバンプの曲を紐解いていったが、他にもたくさんの名曲が存在するので余すことなく聴いてほしい。

これからバンプを聴く人はもちろんのこと、今はバンプに触れていないけど昔は好きだったなぁ……という人にも改めておすすめしたい。なぜなら、昔聴いたような中二的な詩が今も健在だからだ。中学生時代に中二病を患いながら聴いていたバンプを聴き、ふふふ、あの頃は若かったなーっと達観しながら大二病を患ってもいいかもしれない。

また、11月1日には映画「すみっコぐらし」の主題歌「Small world」が各種音楽配信サービスでリリースされた。これまで中二病を蔓延させてきたバンプだが、ここにきて子供が大好きなコンテンツの主題歌を務めることで中二病の精鋭たちを育てるつもりなのかもしれない。いずれにしろ活動期間が長いバンドだが、今も第一線で活動しているアーティストなので、初めてバンプを知った人も、昔聴いていた人も、多くの人にバンプを聴いてほしい。

最後に言うことではないが、ここまでバンプの素晴らしい比喩表現や物語性を紹介してきたにも関わらず、本当に文章がうまくかけるようになるかというと、効果のほどは保証できない。でもバンプを聴きまくっている僕の文章を見れば、その効果は一目瞭然だろう?もし君が自分の文章に悩んでいるならバンプを聴いてみてほしい。うまく書ける自信はすぐには湧いてこないかもしれない。でも自分はできると信じてバンプを聴くんだ。大丈夫、君はまだ君自身をちゃんと見てあげてないだけさ。

さぁ、これから何をするんだい?バンプを聴くんだろ?そしたらこう口ずさむといいさ……

オーイエーアハーン。